ひとりがたり

日常のもの・こと・妄想など

猫町物語

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夕暮れ時の公園でおやつをほおばりながら辺りを見回した。
猫が数匹、駆け回ったり転がったり夕日を浴びて今日最後のひなたぼっこを楽しんでいた。
茶トラのネコが目をしばしば、ぶちネコがキジトラのネコを追いかけ回す。
ふと、気配を感じて横を見ると私が座っているベンチに黒と白のネコが興味深そうに私を見つめていた。
金色の瞳がずっとこちらを見ている、口元は笑っているようで今にもしゃべり出しそうだ。
「にゃーん」
甘えた声で鳴いた。
おやつは全部食べてしまったので、私はその子の身体を撫でてやった。
今までぱっちり開いていた瞳がウットリとして、しっぽもゴキゲンだ。
ごろん、と転がって「もっと」としっぽをふねふねしている。
おなかも撫でてやる。
すると金色の瞳のネコはゆっくり起きあがり近づくと私の頬をなめた。
「あはは、ざらざらだね」
思わずつぶやいた。
ざらざらの舌だけれど優しくなめてくれた。
「そろそろかえるね」
そう言って私は立ち上がり、公園をあとにした。

家に帰ると、夕飯の香りがした。
おみそ汁とあじの開きか・・・家の中に入ると両親と兄弟がもう食卓に着いていた。
「あ、ミケお帰り」
次男のダイが私の頭を撫でてくれた。
「おかえり」
といいながら私はダイの手のひらに頭をこすりつけた。
そして、家族が夕食を食べている間に私は手のひらをぺろぺろ。
開きっぱなしだった三男のけーちゃんのランドセルの中でうたた寝もした。
ランドセルの中で寝ていることに気がつかれてすぐに追い出されちゃったけどね。
わいわいやっている内に外が暗くなってみんな眠りについた。
私はこっそりと家を抜け出して外にでる。
空にはレモン型のお月様。
夕方にあった金色の瞳に似ていた。
あの子はまだあそこにいるかな、わくわくしながら公園まで走った。


猫町物語 第2話~公園のお話~ おわり

使用カメラ:MAMIYA6
企画発案:マチノキヲク『七人のキヲク』


ミツアキヲク:マシタミツアキ(めぐ)