ひとりがたり

日常のもの・こと・妄想など

4.マルボロ

明日も雨が降るだろう・・・きっと、明日も。



「よ、おはよーさん、にゃこ・・・どうしたん?そんな黄昏た顔して。」

こいつは最近、サングラスとバンダナをやめたばっかだ・・・やっぱりこっちのが良いのかもしれない。
昔は、有るロック歌手に似てるとか何とかで、女子や、近所のおばさんにとやかく言われるのがイヤで、よく、サングラスとバンダナ付けっぱなしでそこら辺ふらふら遊びあるったもんだ。
あれから2年か・・・短いようで長いな。
今日は久々にいつものメンバーと会う予定だ。
つまりは、樺島航旗と、内田勇人と、澤村兼二に逢うって事だな。
ンで、この奇妙な関西弁をしゃべるのが、樺島航旗(かばじまこうき)。
俺はカバって呼んでる。俺が高校の頃よくつるんでた相方だ。
相変わらず身長は小さいが、声と態度はでかい。
こいつとはガキの頃からのつきあいだ・・・がきの頃からといえば、内田勇人(うちだゆうと)もそうだな。
勇人はそのままユートだな。
澤村兼二(さわむらけんじ)は高校に入ってからであった・・・俺らとは絶対違うタイプだと思ってたのに、
高2の文化祭の時仲良くなった・・・ケンちゃんは、まぁ・・・いい人というか、鬼というか・・・。
あ、因みに俺は野崎理都という。女みたいな名前なのは、俺んちの親爺がてっきり女が生まれると思って、
名前をそれしか用意してなかったからとか言う何だか言い訳みたいな理由からだ。
みんなは俺のことネコという、理由は人によるけど、何か性格がネコっぽいんだと。
へんなの。

「おい、ネコぉ・・・なんで返事してくれへんの?俺悲しくなるやん・・・」

カバが俺の肩をつかんでゆらゆらとさすった。
肩をつかんだ所為で、ヘッドホンの片方がはずれて、結構大音量の音が辺りに漏れる。
最近こっているのは洋楽で、リンキンパークをよく聴いてるな・・・それは良いとして。
俺は、やっとカバの存在に気がついて、振り返る。

「あぁ・・・カバ、おはよ、で?」
「おいぃーーーのっけから、それかい?全く、相変わらずやなぁ・・・ネコは」
「別にイーじゃん、てか、久しぶりでもねーじゃん1ヶ月ぶりぐらいじゃん?」
「あぁ、ネコ・・・お前はどういうカレンダー持ってんのや、ほれ、この前俺等会ったん半年前やで?近所なのに、一回もあわんし・・・俺はてっきり肺ガンにでもなって・・・」
「ばぁか、タバコ吸ってても、もずくとイチゴミルクが有ればヘーキなんだよ・・・たく、何考えてんだか・・・」
「だってぇ・・・だってぇ・・・」
「あぁ、うるせー・・・後で桃まん食い行くぞ、駅前の中華喫茶店がリニューアルオープンしたんだと、姉貴がいってた」
「えぇ?まじ?いくいくーvv桃マンごっつすきv」
「よう、久しぶり・・・元気だった?」

話しかけてきたのはユートだ。
相変わらず王子様笑顔で柔らかな物腰だった、よく考えるとケンちゃんよりも俺とユートの方が性格から何から正反対なのかもしれない。

「おぉ、ユー君やないかぁ、おひさし!!相変わらず氷川きよしオーラでとるなぁ!!」
「そんなこと無いよ・・・それより・・・カバ、サングラスとバンダナは?やめたの?」
「あぁ、毎日めんどいんでなぁ。辞めたわ・・・それにこっちの方が、女の子達からお菓子いっぱいもらえんねんv」
「そっか・・・カバ、お菓子好きだもんな。じゃ、ほら、ルックチョコのバナナオンリーのやつあげるよ」
「わぁ、ありがとなぁ、俺ホント、ユート君好きやわ!!」
「・・・?あれ?ネコ・・・タバコ変えた?」
「は?・・・ちげーよ、たまたまいつものやつが売ってなかったんだわ、だからマルボロ・・・あんま好きじゃない・・・」
「めがねも変えたよね・・・なんか、丸い。」
「変・・・・・・・?」
「いや、何か、いつもの四角いのが見慣れてたから新鮮・・・」
「あっそ・・・」

マルボロといえば・・・ちょっとイヤな思い出がある・・・。
初めて吸ったタバコがマルボロだった・・・先輩に勧められて、夜中公園でたむろってる時に吸ったのが始まりだ。
確か・・・中が2年辺りだったと思う、とにかく苛々してて、どうにかしたかったんだ。
けど、どうにもならなかった。
で、とりあえず、ちくしょ、なんでそんなこと思い出してんだよ。
姉貴が結婚してから、歩きタバコをやめた。
姪っ子が歩き始めた頃、危ないと気がついたからだ、人間がタバコを持って下に下げた手は、ちょうど幼児の顔面付近に来る・・・だから、辞めた。
そんでもって、どっかのおじさんよろしく、携帯灰皿を持つようになった。
姉貴に貼られた姪っ子のプリクラが貼ってある、黒くて丸くて金属製の物だ。
俺はそれに吸い殻を入れると、ぼうっと煙を吐きながら空を見上げた。

マルボロのイヤな思い出がやっぱり頭の中にあったからだ。
その思い出というのは、その当時つき合ってた女が何が気にくわなかったのか、
マルボロなんか吸ってる男とつきあえない」といって、
一方的に別れを告げられたからだった・・・。
それから、セブンスターにしたんだけど・・・あいつは何が気にくわなかったんだろう。

とりあえず、俺等はケンちゃんがそろい次第中華喫茶でも入るか・・・。