ひとりがたり

日常のもの・こと・妄想など

曇夜の電信柱

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ぼんやりと街の光を吸収した雲が、暗闇の中に電信柱を黒く浮かび上がらせていた夜の話でございます。

わたくしは夜中ふと、目を覚ましました。

どういう訳かなかなか眠りにつくことが出来ず、いっそ夜の散歩を楽しもうと決め込み外へ出かけました。

深夜の街はしんと静まりかえっており、私はうきうきと歩を進めました。

公園の角にさしかかったとき、視界に人のような影が横切りましたがおそらく自分の影であろうと言うことにして、私はつぎの角へと歩きました。

角へさしかかると、また、黒い影が・・・わたくしは怖くなり辺りを見回しました。

電信柱が視界に入ったとき、巨大な女郎蜘蛛が黄色と黒の横縞に目のような赤い斑点を光らせ、8つの目でこちらを見つめておりました。

気づけば、翌朝わたくしはもとのとおり家の布団の中で眠りについておりました。