ひとりがたり

日常のもの・こと・妄想など

54.子馬

質問;リポdのCMのようにピンチの時助けに来て欲しくないと本気で思うのはなに?

答え;生まれたての子馬。
   理由:ふるふるしてるから。

「うわー確かに・・・」
幸甚はラジオ番組のネタ本を読みながら、妙に納得していた。
俺は、それ以上に、あの兄貴に助けられる方が耐えられない。、古都治に助けられるなら、子馬の方がましだった。
「きはっちょ、あのさ」
「きはっちょ言うな、じんこ」
「だって、じんこって言うんだもん」
中学生なのに、小学生低学年のような顔で怒る幸甚を見て、やっぱり、じんこだって俺は感じて、クスリと笑う。
「そうそう、あのさ、葵春だったらなにがいや?」
「古都治かな・・・ウザイしなんか。」
当たり前、という風に答えてやる。
と、そこに、なぜか優也さんと古都治が教室にやってきた。
「なーにがウザイって?まったくかわいい奴だなぁv」
「こっとはるさぁんv」
わんこのように飛びつこうとした幸甚をさらりとよけ、頭を撫でる。
古都治と比べて10センチも大きい幸甚をまともに受け止めたらきっと、古都治は多分、大変なことになるだろう。まぁ、それも願ったりなんだけど。
「よし、よし、いいこだなぁ、幸甚は。つーか、暇だから、来ちゃったv」
「止めたんだけどね、きかないんだよ、こいつ。ゴメンね、葵春君」
まるで近所のおばちゃんのように、なだめる優也を横目に俺は古都治をにらみつける。
「優也さんが謝ること無いよ、つか、来るんじゃねぇよ、お前、3年だろ?」
「いやーだって、可愛い弟が一年生だよ、しかも、学ランだよ、萌えだよ?」
幸せそうな顔のこいつが余計にむかついた。それもこれも、今まで別々に暮らしてた、俺達の出会いに関係してるけど、それは別の話になる。
「学年は関係ないよ、可愛いものは、可愛いんだからv」
にっこり笑う。
「子馬とあんたを比べるような弟でもか?」
皮肉っぽく言ってやる。
「子馬となにを比べたのさ、さわやか度?」
「ばか、死ね!!」
俺は、古都治を殴りたかったが、教室で騒ぎは不味い。
「うわぁーん、優也ーっ!!きはっちょに死ねっていわれたぁ!!」
よし、よし、となだめる優也さん。
しかし、俺は騙されない。
「嘘泣きすんなよ、ばか。つか、優也さんも気が付けよ」
てへvばれた・・・という顔をする。古都治。
やっぱり、跳び蹴りのひとつでも食らわせたい。
しかし、そこで、授業開始のチャイムが鳴ってしまった。
跳び蹴りは、放課後にお預けだ。