ひとりがたり

日常のもの・こと・妄想など

43.遠浅

再びの登場だ、俺はセメダロン31!!
人造人間で、ヒーロー(思い込み)で、謎の美少女(仮)兼おやっさんと一緒に世界の平和、もとい、地域の平和を守っている。
時には通学途中の子供達が危なくないように横断歩道に立ったり、商店街をアイスと接着剤を求め警備したり、おばちゃん達の井戸端会議に参加したり。
俺は、スタイリッシュかつめちゃめちゃ格好いいヒーローなのだ!
「何、言ってるんですか、攻めさん。」
「だから、俺は攻めじゃないと言っているだろうが、ハチ、俺の名前は、セメダロン31」
「はいはい、攻めさん、どっから見ても攻め系なんだよねぇ・・・攻めさん。ここいらで、受けっぽい人造人間でもかくまいますか?アタシ的にはとても面白い展開だと思うんですが・・・」
このハチという悪・・・いやいや、バイオレンスな俺の助手は、とても楽しそうに思いを巡らしているようだった。
と、そこへ、もの凄い音と共に、頭上が明るくなった。
俺は、見上げる。
おかしいなぁ・・・青空が見える・・・っておい、穴、あいてるがな!!
屋根、無い、オープンホーム?
「いや、それ、間違ってますよ、攻めさん・・・私に思考回路バレバレなんですから、あまり馬鹿なこと考えないでくれます?でもって・・・きゃー何これ、可愛いv」
明らかに、後半声違ったんですが・・・ハチさん・・・。
は、ハチさん?
屋根から落ちてきた物体は、新型の人造人間だった。
なにやらハチが服の上から色んな所をさわさわして喜んでいる・・・方法はあえて説明しないが(ハチの面目のために)どうやら、俺と同じ、男性型人造人間(しかも少年型俺は、成人型)だったらしい。
ハチは目をきらきらさせながら、俺を見つめる。
「ね、セメダロン31様vこの子をベッドまで運んでくれるかしら、何処か怪我してないか調べたいのv」
あんた、さっきはぁはぁしながら、まさぐりまくってたじゃないですか・・・はぅ、スンマセン、一刻も早くそれをベッドまで運ばせていただきます!!
俺は、ハチの視線にびくびくしながら、少年を抱きかかえる。
ジーザス、この腐女子をのバイオレンス女を・・・御免なさい、運びます。
ゆっくりと、しかし確実に俺はそれをベッドまで運んだ。

「あぁ、そう、そのアングル!!やっぱりあんた攻め系!!この子家に置くわ!!」
俺がベッドにそれを横たえたときに、ハチがストップをかけめちゃめちゃいい顔で微笑んだ。
「いや、だって、この子にも主人が・・・・と言うか、ヒーロー・・・」
「なわけ無いじゃない、さっき、シリアルナンバーから、名前とオーナーを調べたの。名前は、ウケロダン99先月廃棄処分になってることになってる。名前も、受け。OK、攻めさん?」
ハチは、親指を立ててもの凄くいい顔だ、ここで拒否したなら俺はなぶり殺しにされる。
「は、ハチさん、もの凄くご機嫌麗しいところ大変申し訳ないのですが・・・」
「なにさ」
「受け君が目を覚まされたご様子で・・・」
ウケはきょとんとしながら、俺とハチを見ていた。
ハチは思わず抱きつく。
「きゃーやっぱり可愛い!!め、緑だよ、緑に銀髪、萌えv」
ウケはハチをひっぺがす。
「辞めろ、不細工」
一瞬固まる俺と、ハチ。
い、今何と・・・この無礼者、は、ハチさんに・・・ぶ、不細工・・・と・・・あぁぁぁぁ殺される、廃棄処分まっしぐら、猫もまっしぐら!!
「やーなにーこれぇvツンデレですか?ツンツンですかぁ?ホント、萌え何だけど、セメとは大違い、こいつへたれ、へたれよりやっぱりツンデレさんだよねv」
俺は、ハチの変貌ぶりというか、腐女子ぶりに目頭が熱くなる。
と言うか、もう既にボロボロ泣いていた、ボロボロ、鼻水もボロボロ。
俺の顔はぐちゃぐちゃだ。
「おい、そこのキモイのこの不細工どうにかしろ。あと、蜂蜜入りミルクティ、めちゃめちゃ甘くして持ってこい、不味かったら殺す」
た、ただいま・・・俺はこくこくと頷く、ウケの目はいつだって本気だ。
は、ハチさん・・・。
「なにさ、あんた、このツンデレ君と、アタシのラヴラヴライフを邪魔したら殺すよ!!」
だーっっっっっ!俺はどっちにしろ殺されるのか!!そうなのか!!畜生!!
良いさ、俺はヒーローだ、こんなピンチ沢山乗り越えてきたじゃないか、猫を追いかけ屋上から落ちそうになったり、タイムサービスを奥様達と争って窒息死しそうになったり、だって、俺はヒーローさ。
甘ったるいミルクティーだって、ツンデレ腐女子のラヴラヴライフだって、何だってかまいやしない、俺はヒーローナンダ!

ちゃっかり、ミルクティー入れたりね、ヒーローだからね、頑張らないとね。
そうして、ウケロダン99とハチとセメダロン31(俺)の新たなるヒーローライフが始まった。
「っていうか、攻めさん、再びつまり2回目で急展開の連続ね、ホントむかつくわ」
す・・・済みません、ハチさん。
ヒーローだから謝るのも誰にも負けない。
「・・・っていうか、タイトルと内容、何ら関係ないじゃん。Byウケロダン99」