ひとりがたり

日常のもの・こと・妄想など

2008-12-11から1日間の記事一覧

こいつぁあったけぇ

はな(♀)パグ8歳 しみじみ思う。

29.デルタ(三角形)

日当たりの良い出窓の下の白い壁に僕達は膝を抱えて並んでいた。 優しげな表情の女性が、僕達にパンとミルクを運んできた。 僕達はその女性を見上げてパンとミルクを受け取る。 「ありがとうございます」 僕が女性に告げると、女性はまた、優しげに微笑み僕…

35.長い髪の女

ぼんやりと覚えている、小さい頃の記憶。 俺と同じ色の赤い髪の緑色の瞳をした色の白い女性。 彼女はいつも微笑んでいた。 だけど、俺が観ていないときはいつも悲しそうな顔をしていた。 そして、その女性はある日を境に俺の記憶の中に現れなくなる。 金髪の…

91.サイレン

頭の中で大きく鳴り響くサイレンに、誰も気が付かない。 『頭の中のサイレンなんて気にすんなよ、幻聴だ。』 黒い髪の深緑色の瞳の男が俺を見つめていた。 『誰?』 男は笑う。 『知ってるはずだろう?お前は、俺を。』 男が俺を見据える。その視線に俺はと…

77.欠けた左手

ぽた、ぽた、ぽた、ぽた、ぽた、ぽた、ぽた、ぽた、ぽた・・・。 それは、誰にも見えない血。 所かまわずその血を垂れ流しながら、僕は生きている。 滑稽で、時に笑ってしまう。 どこから流れ出てるのか、場所を確かめようとするけど傷の場所なんて解らない…

33.白鷺

「何のために生きてるってさ。足掻きながら戦うためだよ。生きるために」 俺の問いに古都治はそう答えた。 たばこの煙が、青空に溶けていく。 「学習したんだよ、色々あって。つか、葵春何でそんなはずかしー話俺にさすんだよ」 「たまにはあんたの考え、聞…

秘密の景色

足下に高速道路が出来た 見上げるほど大きな私立病院が出来た どんどんと街は栄えていくけれど 秘密の景色だけは変わりなく そこに存在していた 少女時代 太陽のさきっぽが とっぷり山に沈むまで眺めていた 一番星を探し 彗星を見た フェンス越しにじゃなく …

はじまりのうた

高校1年生の頃 どきどきしながらホームページに載せた 初めての写真 はじめてのうた ファイルの片隅から発掘して 開けてみたら 申し訳ないぐらい小さな写真だった はじまりのうたは小さな声で歌っていたようだ 16歳の夏 台風が雲を全てさらっていった昼下…

窓辺から

私は知っていた 君が傷つくことを 知っていてそうした 浅ましい奴なんだ どうか私を 許さないでください 私はずるい人間だから 君が私の言葉に返事しないと思っている それが悔しい だったら伝えてほしい 近寄るな しっかりそういって 私の決意が鈍るから 最…